早生まれ税金訴訟

父ちゃん、また小法廷に立つ(計画)

対住民税 被告第1準備書面

遅くなってすみません。

地方税法(住民税)の行政側(川崎市)からの認否と反論になります。えー長いです。覚悟してください。

スマホのアプリで文字起こししているので一部変換間違いがありますがご了承ください。

 

ここから

 

第1 請求の原因に対する認否
1「1 事案の概要」 について
 認否については、同項目より後の具体的な主張において行い、同項目についての認否は行わない。
2「2 関係法令の定め」について
(1) 「(1)」 について
 概ね認める。
 なお、 訴状3頁1行目の 「市県民内」 は 「市町村内」 の誤記と思われる。
(2) 「(2)」について
 概ね認める。
 なお、個人の県民税の均等割の標準税率は、 地方税法38条及び東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律2条により1500円であり、神奈川県県税条例 (神奈川県県税条例の一部を改正する条例 (令和3年神奈川県条例第77号) による改正前のものをいう。 以下「県税条例」という。)附則44項2号による水源環境保全・再生のための特例による均等割の税率が1800円となっている。
 また、同項目中の 「令和3年」 は 「令和3年度」 が正しい。
 県税条例附則3項2号と記載されている箇所について、正しくは県税条例附則44項2号であり、 市税条例附則22項が指摘されている箇所については、正しくは市税条例附則32項である。
(3) 「(3)」について
 認める。
(4) 「(4)」 について
 概ね認める。
「314条1項11号」 と記載されている箇所について、 正しくは 「314条の2第1項第11号」 であり、 「16歳以上19歳未満であれば33万円、 19歳以上23歳未満 (特定扶養親族)であれば45万円 70歳以上(老人扶養親族) であれば38万円」 とあるのは、正しくは 「年齢16歳以上の控除対象扶養親族であれば33万円(うち年齢19歳以上23歳未満の特定扶養親族であれば45万円、 年齢70歳以上の老人扶養親族であれば38万円)」である。
(5) 「(5)」 について
 概ね認める。
 なお、「314条8項」 と記載されている箇所について、 正しくは 「314条の2第8項」 である。
(6) 「(6)」について
 概ね認める。
 なお、平成22年度等における子ども手当の支給に関する法律において、支給要件を定めているのは同法4条である。
(7) 「(7)」について
 認める。
3 「3提訴に至るまでの経緯」 について
(1) 「(1)」について
 認める。
(2) 「(2)」について
 認める。
(3) 「(3)」について
 概ね認める。
 なお、処分庁が税額決定通知書を送付したのは、特別徴収義務者としての原告の勤務先 (使用者) である。
(4) 「(4)」 について
 特に争わない。
(5) 「(5)」について
 認める。
(6) 「(6)」について
 認否の要を見ない。
4「4 原告の主張」 について
(1) 「はじめに、 」 で始まる段落について
 認否の対象でない。
(2) 「(1) 不公正税制の指摘」 について
ア 訴状5頁8行目「地方税法における扶養控除は」 から61行目「(別紙1の図3)」 までについて
 概ね認める。
 なお、 「16歳から18歳の控除対象扶養親族か、 19歳から22歳の特定扶養親族か」 と記載されている箇所については、「年齢16歳以上の控除対象扶養親族か、 年齢19歳以上23歳未満の特定扶養親族か」 が正しい。
 また、 そもそも地方税法は年齢により扶養親族の判定を行うことになっているものであるし、また、高校1年生、大学1年生が原告の指摘する年齢とは限らず、 早生まれであっても留年するなどして15歳ではない高校1年生、 18歳ではない大学1年生であることはあり得るのであり、原告の主張は正確とはいえない。
イ 訴状6頁2行目 「具体的には」から同9行目「高くなる。」 までについて
 前年の12月31日時点で16歳である高校1年生の子に33万円の扶養控除が適用され、同日時点で15歳である高校1年生の子には扶養控除が適用されないこと、同日時点で19歳の大学1年生の子を扶養しているケースであれば45万円の扶養控除が適用され、同日時点で18歳の大学1年生の子の場合には扶養控除額が33万円になることは認め、その余は否認ないし争う。
 先述のとおり、 地方税法は年齢によって扶養親族の判定を行うこととしており、 高校1年生、 大学1年生が原告の主張する年齢とは限らないのであって、原告の主張は牽強付会である。
ウ 訴状6頁10行目 「等しきもの」 から19行目 「いうべきである。」 までについて
 否認ないし争う。
 地方税法は、 特定扶養控除の対象となる者について、 親族であること、生計を一にすること、 前年の合計所得金額が48万円以下であること、 年齢が19歳以上23歳未満であることとの要件を用いて判断することとしており、要件を充足するか否かによって取扱いを分けているものの、これは原告のいう「等しきものを等しく扱い、 等しからざるものを等しからざるように扱う」 ものにほかならない。
 同じ学年に属する子であっても、前年の合計所得金額が異なる場合には、扶養に要する支出が同等であったとしても、等しくは扱われないのであっして、原告の主張は「同じ学年に属する」 という一面のみを過大にとらえるものであって、 適切ではない。
 また、特定扶養親族に該当する19歳の者が、 全て大学に進学し同じ学年に属するわけではなく、 扶養親族に該当する子の実態は、 進学の有無、進学先や就学の状況、 学費その他に係る支出の多寡、 居住実態や送金状況など、 個々に異なっているのであって、 このような個別の状況によらず、年齢という客観的な要件に基づいて特定扶養控除の対象となるか否かを判断する地方税法の規定には一定の合理性があり、 憲法14条1項に反するものではないというべきである。
(3) 「 (2) 不公平な高等学校等就学支援金制度の指摘」 について
ア 訴状6頁下から5行目 「平成22年に」 で始まる段落について
 高校2年生の前年の12月31日の年齢については否認ないし争い、その余については認める。
先述のとおり、 高校入学時に浪人していたり、 留年していたりするなどの事情により、 高校2年生の前年12月31日の年齢が原告主張の年齢になるとは限らない。
イ 訴状7頁7行目 「これは、」 で始まる段落について
 否認ないし争う
 高等学校等就学支援金の支給に関する法律(以下「高等学校等就学支援金法」という。)に基づく高等学校等就学支援金制度は、 高等学校に就学する者を支援する制度であるから、同じ学年に属する子については同様の扱いをするという要請が働く。
一方、地方税の扶養控除は、特定の年齢にある扶養親族と生計を一にする納税者の納税資力の減殺について調整する制度であって、両者は制度の趣旨を異にする。
また、税の賦課徴収については、 財政需要や社会政策等を総合的に判断して決定されるものであり、課税要件や控除の内容については、専門的・技術的判断を要するものであるから、 その立法裁量は広く認められるべきであるし、その是非は、 本来立法府の民主的過程に委ねられるべきである。
ウ 訴状7頁 12行目 「このように」 で始まる段落について
 否認ないし争う。
 先述のとおり、 高等学校等就学支援金制度は、地方税法とは異なる観点から定められた制度であって、 高等学校等就学支援金制度が不合理であるからといって、これを理由として、別の制度である地方税法の扶養控除の規定が憲法違反となることはないというべきである。

仮に、 高等学校等就学支援金制度が不合理であるというのであれば、その制度自体の合憲性を問題にすべきであって、原告の主張は失当である。
(4) 「(3) 区別と法的取扱い差異の明確化」について
 地方税法34条8項及び314条の2第8項において、 控除対象扶養親族であるか特定扶養親族であるかの判定を、 前年12月31日の現 よるものと規定していることは認め、 その余については否認ないし争う。
 前述のとおり、 高校1年生あるいは大学1年生である親族は、 必ずしも同じ年齢であるわけではないし、仮に遅生まれの子と早生まれの子が同じ学年に属するとしても、両者の扶養のための支出が同等であるということはできない。
 また、前年の12月31日において、 19歳以上23歳未満となる回数については、遅生まれや早生まれに関係なく、同じ回数である。
 このほか、 扶養親族が早生まれの子であった場合、 遅生まれの子と同様に、浪人や留年などがなく、順調に高校、大学へ進学、卒業し、 そのまま就職した場合、 早生まれの子を扶養する期間は、 遅生まれの子を扶養する期間よりも短くなり、子を扶養する納税者は、早生まれの子の方が、 早期にその扶養の負担から解放され、 扶養にかかる費用を負担しなくてよくなるということになるのであって、この点から見た場合に、 早生まれの子について、控除対象扶養親族でなくなることは不合理とはいえない。
 すなわち、原告は、 同じ学年に属していたという一事をもって、 遅生まれと早生まれの者について、 地方税法の扶養控除における取扱いが異なることを不合理と断じるものにほかならず、 前述のとおり、 早生まれの子については、 遅生まれの子と比較して、 扶養の期間が短くなる点等を一切考慮していないのであって、 失当である。
(5) 「(4) 判断の枠組み」 について
 認める。

(6) 「(5) 立法目的の正当性」について
 立法目的が正当であるとの結論自体は認め、原告の主張する理由は否認ないし争う。 理由は後述する。
(7) 「(6) 立法目的と立法手段との関連性について」について
 否認ないし争う。 理由は後述する。
(8) 「(7) その他の観点について」について
ア「A. 本件区別が租税負担能力の差異に応じたものかについて」について
 否認ないし争う。
 なお、原告は 「市県民税は暦年課税であり、前年の収入と支出から課税額が決定されるべき性格なので、 資産の違いから課税額を変更することは道理ではない」と主張しつつ、 児童手当の 「支給回数の多い遅生まれの子を持つ親の方が貯蓄額が多くなる」、「早生まれの子を持つ親の方が遅生まれの子を持つ親よりも租税負担能力が低いということができる」 と主張している。 資産による租税負担能力は市県民税の課税額には影響しないというのが原告の主張である以上、 児童手当の支給回数による貯蓄額という資産に着目し、不合理である理由とする原告の主張は、 主張自体に矛盾があるというべきである。
イ 「B.租税の効率的徴収という観点について」について
 同項目のうち、「まず市県民税は」で始まる段落については認め、その余については否認ないし争う。
 原告の主張は、扶養親族該当性の判定日と、 扶養親族の年齢の判定日を別にするというものであるところ、 判定基準日が増えることにより要件が複雑化し、租税の効率的徴収を阻害するおそれがある。
 また、年齢は、時間の経過という事情によるものであり、 人種や性別のように生まれながらに定められた属性というものとは異なる。 すなわち、一定の時間の経過により、 一般的に、 就学する状況にあるとか、 就労を終える時期にあるという状況が発生するのであり、 それ自体は経験則というべきものであって、 一定の時間の経過という指標を用いて、一定の状況にあることを推定するという方法論なのであるから、原告の主張するように、人種や性別と同様の取扱いをすべきということはできない。
 例えば、 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律は、 労働者について定年制を設けること自体は否定しておらず、 年齢による区分を設けることを許容しているのであって、このことからも、年齢を人種や性別と同様の取扱いとすべきということはできないというべきである。
 また、原告は、 教育課程の子の扶養については、年の変わりではなく年度の変わりで性質が変化することが明らかであると主張するところ、 納税者の支出の状況は多様であって、 教育費以外にも様々な支出対象が存在し、個々に差異が生じるものであるし、 先述のとおり、 扶養親族の判定を、 教育課程にあるか否かで分け、 さらに、その基準日を教育課程にある場合にのみ前年の12月31日ではなく、 3月31日とすることは、 課税要件を
複雑化し、 租税の効率的徴収を阻害するというべきである。
 原告は、 租税の効率的徴収を阻害することはないと主張するが、根拠を欠くものであり、 失当である。
ウ 「C. 類似事例における名古屋高裁の判断について」 について
 訴状15頁2行目 「所得税法の」 で始まる段落は認め、 その余は否認ないし争う。
 名古屋高等裁判所平成20年7月9日判決 (以下「平成20年名古屋高裁判決」 という。)は、 「控訴人は、通常の場合、 教育課程の修了する年において、いわゆる早生まれの子も同一学年の遅生まれの子と同じように就職して、一定額以上の収入を得るようになるとして、 扶養控除を受けられる年数が遅生まれの子に比べて1年少なくなることを指摘するが、 そもそも早生まれの子の方が遅生まれの子に比べて扶養期間が短いのであり、また、特定扶養親族としての扶養控除に関しては、毎年の12月31日の判断基準日において16歳以上23歳未満に該当する年数 (回数) は、 その誕生日がいつであっても同じであり、 早生まれの子についても変わりはないのである。」 とまさに判示しており、 これは、 特定扶養親族の要件が「16歳以上23歳未満」 から 「19歳以上23歳未満」 に変更されている現在も変わるところではないのであって、 事情が異なるとの原告の主張は、 平成20年名古屋高裁判決を正解しないものであり失当である。
エ 「D. 国会での議論について」
 甲第10号証に原告の主張する佐々木委員の発言、 古谷政府参考人の発言があること、 甲第11号証に原告の主張する萩生田国務大臣の発言があること、 甲第12号証の報道があったことは認め、 その余は否認ないし争う。
 先述のとおり、 高等学校等就学支援金制度と地方税の賦課徴収は、 目的や対象を異にする別の制度であり、 高等学校就学支援金制度における不合理があれば、その制度内において調整すべきであって、 当該不合理が地方税制度の不合理性の裏付けとなるものではないというべきである。
 また、甲第13号証の尾原政府委員の答弁は、「年分課税でございますから、 扶養親族かどうかの判定は1年のところでやらなきゃならぬ等々のことからそうなっている」 と説明しているところ、この「年分課税でございますから」との答弁は、 扶養親族該当性と特定扶養親族該当性の判定基準日が同一であることを前提としたものであるから、原告の主張は、 答弁の内容を正解しないものであって失当である。
(9) 「(8) 本件区別の解消について」 について
 否認ないし争う。
 憲法30条及び84条により、 租税の賦課徴収は法律の根拠に基づいて行わなければならず (租税法律主義)、課税要件及び租税の賦課徴収の手続を法定する必要がある (課税要件法定主義)。
 特定扶養親族であるかどうかの判定についても、 法律の規定によらなければならず、 地方税法34条8項及び314条の2第8項において、 「前年の12月31日の現況によるもの」と規定されている以上、 「前年の4月1日から当年の3月31日の間に達する年齢で判定する」 とすることは、 法律の文言の解釈を超えるものであって、課税要件法定主義に反し、ひいては憲法30条及び84条に違反するものである。
 また、先述のとおり、 特定扶養親族該当性の判断基準を、 前年の12月31日の現況によると定めた地方税法の規定は、憲法14条1項には違反しないというべきである。

第2 被告の主張
1 法令の定め
(1) 地方税法の定め
ア 第4条 略
2 道府県は、普通税として、次に掲げるものを課するものとする。
ただし、徴収に要すべき経費が徴収すべき税額に比して多額であると認められるものその他特別の事情があるものについては、この限りでない。
道府県民税
二~九略
3~6略
イ 第5条 略
2 市町村は、普通税として、次に掲げるものを課するものとする。
ただし、徴収に要すべき経費が徴収すべき税額に比して多額であると認められるものその他特別の事情があるものについては、この限りでない。
1
|市町村民税
二~六略
3~7 略
ウ 第23条 道府県民税について、 次の各号に掲げる用語の意義は、 それぞれ当該各号に定めるところによる。
均等割 均等の額により課する道府県民税をいう。
二 所得割
所得により課する道府県民税をいう。
三~八略
九扶養親族 道府県民税の納税義務者の親族 (その納税義務者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法 (昭和22年法律第164号) 第27条第1項第3号の規定により同法第6条の4に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法 (昭和38年法律第133新号) 第11条第1項第3号の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその納税義務者と生計を一にするもの (第32条第3項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第4項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、前年の合計所得金額が48万円以下である者をいう。
3 十~十八 略
2.3
4 道府県民税について所得税法その他の所得税に関する法令を引用する場合 (第1項第6号及び第14号から第17号まで、 第25条の2、 次款第3目及び第4款から第6款まで並びに附則第35条の2の5第2項から第4項までにおいて引用する場合を除く。)には、これらの法令は、前年の所得について適用されたものをいうものとする。

第24条 道府県民税は、 第1号に掲げる者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、 第3号に掲げる者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額により、 第2号及び第4号に掲げる者に対しては均等割額により、 第4号の2に掲げる者に対しては法人税割額により、第5号に掲げる者に対しては利子割額により、 第6号に掲げる者に対しては配当割額により、 第7号に掲げる者に対しては株式等譲渡所得割額により課する。
道府県内に住所を有する個人
二~七略
2~9
オ 第32条 所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。第10号の2に2 前項の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額は、この法律又はこれに基づく政令で特別の定めをする場合を除くほか、 それぞれ所得税法その他の所得税に関する法令の規定による所得税法第22条第2項又は第3項の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算の例によって算定するものとする。 ただし、同法第60条の2から第60条の4までの規定の例によらないものとする。
3~16 略
カ 第34条道府県は、所得割の納税義務者が次の各号に掲げる者のいずれかに該当する場合には、それぞれ当該各号に定める金額をその者の前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除するものとする。
第一~十の二略
十一 控除対象扶養親族 (扶養親族のうち、 年齢16歳以上の者をいう。以下この款において同じ。)を有する所得割の納税義務者各控除対象扶養親族につき33万円 (その者が特定扶養親族 (控除対象扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の者をいう。 第8項及び第37条において同じ。)である場合には45万円、その者が老人扶養親族 (控除対象扶養親族のうち、年齢70歳以上の者をいう。 第4項及び第8項並びに第37条において同じ。) である場合には38万円)
2~7 略
8 第1項、第3項又は第4項の場合において、 特別障害者若しくはその他の障害者、寡婦、 ひとり親若しくは勤労学生であるかどうか又は所得割の納税義務者の第3項の規定に該当する同一生計配偶者、老人控除対象配偶者若しくはその他の控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者若しくは第1項第10号の2に規定する生計を一にする配偶者若しくは特定扶養親族、 第3項の規定に該当する扶養親族、 第4項の規定に該当する老人扶養親族若しくはその他の老人扶養親族若しくはその他の控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族であるかどうかの判定は、前年の12月31日(前年の中途においてその者が死亡した場合には、その死亡の時)の現況によるものとする。 ただし、 その所得割の納税義務者の子が同日前に既に死亡している場合には、 当該子がその所得割の納税義務者の第23条第1項第12号イに規定する政令で定める子に該当するかどうかの判定は、その死亡の時の現況によるものとする。

9~12 略
キ第35条 所得割の額は、課税総所得金額 課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、 100分の4 (所得割の納税義務者が地方自治法第252条の19第1項の市 (第37条及び第37条の2において 「指定都市」 という。)の区域内に住所を有する場合には、 100分の2) の標準税率によって定める率を乗じて得た金額とする。この場合において、当該定める率は、同一の標準税率ごとに一の率でなければならない。
2 前項の「課税総所得金額」、 「課税退職所得金額」 又は 「課税山林所得金額」とは、 それぞれ前条の規定による控除後の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。
ク 第38条 個人の均等割の標準税率は、千円とする。
ケ 第39条 個人の道府県民税の賦課期日は、 当該年度の初日の属する年の1月1日とする。
コ 第292条 市町村民税について、 次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 均等割 均等の額により課する市町村民税をいう。
二 所得割 所得により課する市町村民税をいう。
三~八略
九 扶養親族 市町村民税の納税義務者の親族 (その納税義務者又はの配偶者を除く。)並びに児童福祉法第27条第1項第れぞれ3号の規定により同法第6条の4に規定する里親に委託
された児童及び老人福祉法第11条第1項第3号の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその納税義務者と生計を一にするもの (第313条第3項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第4項に規定する
事業専従者に該当するものを除く。)のうち、前年の合計所得金額が48万円以下である者をいう。
十~十四 略
2~3 略
4 市町村民税について所得税法その他の所得税に関する法令を引用する場合(第1項第6号、第317条の6、 第321条の4及び第5款において引用する場合を除く。) には、これらの法令は、前年の所得について適用されたものをいうものとする。
サ 第294条 市町村民税は、第1号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、 第3号の者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額により、 第2号及び第4号の者に対しては均等割額により、 第5号の者に対しては法人税割額により課する。
一 市町村内に住所を有する個人
二~五 略
2~9 略
シ 第310条 個人の均等割の標準税率は、三千円とする。
ス 第313条 所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。 計2 前項の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額は、この法律又はこれに基づく政令で特別の定めをする場合を除くほか、 それぞれ所得税法その他の所得税に関する法令の規定による所得税法第22条第2項又は第3項の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算の例によって算定するものとする。 ただし、 同法第60条の2から第60条の4までの規定の例によらないものとする。

3~16 略
セ 第314条の2 市町村は、 所得割の納税義務者が次の各号に掲げる者のいずれかに該当する場合には、それぞれ当該各号に定める金額をその者の前年の所得について算定した総所得金額、 退職所得金額又は山林所得金額から控除するものとする。
一~十の二 略
十一 控除対象扶養親族 (扶養親族のうち、 年齢16歳以上の者をいう。以下この款及び第317条の3の3第1項において同じ。)を有する所得割の納税義務者 各控除対象扶養親族につき33万円 (その者が特定扶養親族 (控除対象扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の者をいう。 第8項及び第314条の6において同じ。)である場合には45万円、その者が老人扶養親族 (控除対象扶養親族のうち、 年齢70歳以上の者をいう。 第4項及び第8項並びに第314条の6において同じ。) である場合には38万円)
2~7 略
8 第1項、第3項又は第4項の場合において、 特別障害者若しくはその他の障害者、寡婦、 ひとり親若しくは勤労学生であるかどうか又は所得割の納税義務者の第3項の規定に該当する同一生計配偶者、老人控除対象配偶者若しくはその他の控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者若しくは第1項第10号の2に規定する生計を一にする配偶者若しくは特定扶養親族、 第3項の規定に該当する扶養親族、 第4項の規定に該当する老人扶養親族若し
くはその他の老人扶養親族若しくはその他の控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族であるかどうかの判定は、前年の12月31日 (前年の中途においてその者が死亡した場合には、 その死亡の時) の現況によるものとする。 ただし、その所得割の納税義務者の子が同日前に既に死亡している場合には、 当該子がその所得割の納税義務者の第292条第1項第12号イに規定する政令で定める子に該当するかどうかの判定は、 その死亡の時の現況によるものとする。
9~12 略
ソ第314条の3 所得割の額は、課税総所得金額 課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、 100分の6 (所得割の納税義務者が地方自治法第252条の19第1項の市 (第314条の6及び第314条の7において 「指定都市」 という。)の区域内に住所を有する場合には、 100分の8) の標準税率によって定める率を乗じて得た金額とする。 この場合において、 当該定める率は、一の率でなければならない。
2 前項の「課税総所得金額」、 「課税退職所得金額」 又は 「課税山林所得金額」とは、それぞれ前条の規定による控除後の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。
タ 第318条 個人の市県民税の賦課期日は、 当該年度の初日の属する年の1月1日とする。
(2) 所得税法の定め
ア 第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~三十三の四略
三十四 扶養親族 居住者の親族 (その居住者の配偶者を除く。)並び児童福祉法(昭和22年法律第164号) 第27条第1項第3号(都道府県の採るべき措置) の規定により同法第6条の4 (定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法 (昭和38年法律第133号) 第11条第1項第3号 (市町村の採るべき措置) の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの (第57条第1項に規定する青色事業専従者に該当する
もので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第3項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、 合計所得金額が48万円以下である者をいう。
三十四の二 控除対象扶養親族 扶養親族のうち、 年齢16歳以上の者をいう。
三十四の三 特定扶養親族 控除対象扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の者をいう。
三十四の四 老人扶養親族 控除対象扶養親族のうち、 年齢70歳以上の者をいう。
イ 第36条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、 その年において収入すべき金額 (金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額) とする。
2~3略
ウ 第37条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額 (事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第35条第3項 (公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2略
第84条 居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その控除対象扶養親族一人につき38万円 (その者が特定扶養親族である場合には63万円とし、 その者が老人扶養親族である場合には48万円とする。 ) を控除する。
2 前項の規定による控除は、 扶養控除という。
オ 第85条略
2略
3 第79条から前条までの場合において、 その者が居住者の老人控除対象配偶者若しくはその他の控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者若しくは第83条の2第1項 (配偶者特別控除)に規定する生計を一にする配偶者又は特定扶養親族、 老人扶養親族若しくはその他の控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族に該当するかどうかの判定は、 その年12月31日の現況による。 ただし、 その判定に係る者がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
4~6略
(3) 高等学校等就学支援金法の定め
ア 第1条 この法律は、 高等学校等の生徒等がその授業料に充てるために高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとすることにより、 高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的とする。
イ 第3条高等学校等就学支援金 (以下 「就学支援金」 という。)は、高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し、当該高等学校等 (その者が同時に2以上の高等学校等の課程に在学するときは、これらのうちいずれか一の高等学校等の課程)における就学について支給する。
2 就学支援金は、前項に規定する者が次の各号のいずれかに該当するときは、支給しない。
高等学校等(修業年限が3年未満のものを除く。)を卒業し又は修了した者
二 前号に掲げる者のほか、 高等学校等に在学した期間が通算して36 月を超える者
三 前2号に掲げる者のほか、 前項に規定する者の保護者 (学校教育法第16条に規定する保護者をいう。) その他の動向に規定する者の就学に要する経費を負担すべき者として政令で定める者(以下「保護者等」という。)の収入の状況に照らして就学支援金の支給により当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるとは認められない者として政令で定める者
3 略
ウ 第4条 前条第1項に規定する者 (同条第2項各号のいずれかに該当する者を除く。) は、 就学支援金の支給を受けようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、 その在学する高等学校等(その者が同時に2以上の高等学校等の課程に在学するときは、その選択した一の高等学校等の課程) の設置者を通じて、当該高等学校等の所在地の都道府県知事(当該高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)に対し、当該高等学校等における就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し、その認定を受けなければならない。
エ 第5条 就学支援金は、前条の認定を受けた者 (以下「受給権者」という。)がその初日において当該認定に係る高等学校等(以下「支給対象高等学校等」という。)に在学する月において、 月を単位として支給されるものとし、その額は、一月につき、支給対象高等学校等の授業料の月額 (授業料の額が年額その他の月額以外の方法により定められている場合にあっては、 授業料の月額に相当するものとして文部科学省令で定めるところにより算定した額をいい、 受給権者が授業料の減免を受けた場合にあっては、文部科学省令で定めるところにより当該授業料の月額から当該減免に係る額を控除した額をいう。)に相当する額 (その額が支給対象高等学校等の設置者、 種類及び課程の区分に応じて政令で定める額(以下「この項において 「支給限度額」という。」を超える場合にあっては、支給限度額)とする。
2 支給対象高等学校等が政令で定める高等学校等である受給権者であって、その保護者等の収入の状況に照らして特に当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるものとして政令で定めるものに対して支給される就学支援金に係る前項の規定の適用については、同項中 「定める額」 とあるのは、「定める額に政令で定める額を加えた額」 とする。
3第1項の支給限度額は、地方公共団体の設置する高等学校、 中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部の授業料の月額その他の事情を勘案して定めるものとする。
オ 第6条 都道府県知事 (支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合 (支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。) にあっては、 都道府県教育委員会。 以下同じ。)は、受給権者に対し、 就学支援金を支給する。
2 就学支援金の支給は、受給権者が第4条の認定の申請をした日(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達した日 (次項において「申請日」 という。)の属する月 (受給権者がその月の初日において当該支給対象高等学校等に在学していないとき、 受給権者がその月について当該支給対象高等学校等以外の高等学校等を支給対象高等学る就学支援金の支給を受けることができるときその他政令で定めるときは、その翌月) から始め、 当該就学支援金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。
3~4略者
力 第7条 支給対象高等学校等の設置者は、受給権者に代わって就学支援金を受領し、その有する当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとする。
(4) 児童手当法の定め
ア 第1条 この法律は、 子ども・子育て支援法 (平成24年法律第65号) 第7条第1項に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育しているものに児童手当を支給することにより、 家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。
イ 第4条 児童手当は、次の各号のいずれかに該当する者に支給する。
次のイ又はロに掲げる児童 (以下「支給要件児童」 という。)を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母(当該支給要件児童に係る未成年後見人があるときは、 その未成年後見人とする。 以下この項において 「父母等」という。)であって、 日本国内に住所 (未成年後見人が法人である場合にあっては、 主たる事務所の所在地とする。)を有するもの
イ 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童 (施設入所等児童を除く。以下この章及び附則第2条第2項において 「中学校修了前の児童」という。)
ロ 中学校修了前の児童を含む2人以上の児童 (施設入所等児童を除く。)
二 日本国内に住所を有しない父母等がその生計を維持している支給要件児童と同居し、これを監護し、かつ、これと生計を同じくする者 (当該支給要件児童と同居することが困難であると認められる場合にあっては、 当該支給要件児童を監護し、かつ、これと生計を同じくする者とする。)のうち、当該支給要件児童の生計を維持している父母等が指定する者であって、 日本国内に住所を有するもの(当該支給要件児童の父母等を除く。 以下 「父母指定者」という。)
三 父母等又は父母指定者のいずれにも監護されず又はこれらと生計を同じくしない支給要件児童を監護し、かつ、その生計を維持する者であって、 日本国内に住所を有する者慮され、四 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある施設入所等児童 (以下「中学校修了までの施設入所等児童」 という。)が委託されている小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親又は中学校修了前の施設入所等児童が入所若しくは入院をしている障害児入所施設 指定発達支援医療機関乳児院等、 障害者支援施設 のぞみの園 救護施設、 更生施設、日常生活支援住居施設若しくは婦人保護施設 (以下 「障害児入所施設等」という。)の設置者
2 前項第1号の場合において、 児童を監護し、 かつ、これと生計を同じくするその未成年後見人が数人あるときは、当該児童は、当該未成年後見人のうちいずれか当該児童の生計を維持する程度の高い者によって監護され、かつ、 これと生計を同じくするものとみなす。
3第1項第1号又は第2号の場合に置いて、 父及び母、未成年後見人並びに父母指定者のうちいずれか2以上の者が当該父及び母の子である児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするときは、当該児童は、 当該父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者のうちいずれか当該児童の生計を維持する程度の高い者によって監護され、かつ、 これと生計を同じくするものとみなす。
4 前2項の規定にかかわらず、 児童を監護し、かつ、かつこれと生計を同じくするその父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者のうちいずれか一の者が当該児童と同居している場合 (当該いずれか一の者が当該児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするその他の父若しくは母、 未成年後見人又は父母指定者と生計を同じくしない場合に限る。) は、 当該児童は、 当該同居している父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなす。
ウ 第5条 児童手当 (施設入所等児童に係る部分を除く。)は、前条第1項第1号から第3号までのいずれかに該当する者の前年の所得 (1月から5月までの月分の児童手当については、 前々年の所とする。 ) が、 その者の所得税法 (昭和40年法律第33号)に規定する同一生計配偶者及び扶養親族 (施設入所等児童を除く以下 「扶養親族等」 という。)並びに同項第1号から第3号までのいずれかに該当する者の扶養親族等でない児童で同項第1号から第3号までのいずれかに該当する者が前年の12月31日において生計を維持したものの有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、 支給しない。 ただし、 同項第1号に該当する者が未成年後見人であり、かつ、 法人であるときは、この限りでない。
2 前項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
エ 第8条 市町村長は、前条の認定をした一般受給資格者及び施設等受給資格者(以下「受給資格者」という。)に対し、 児童手当を支給する。
2 児童手当の支給は、受給資格者が前条の規定による認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、 児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。
3~4 略
オ 第16条 租税その他の公課は、 児童手当として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
(5) 神奈川県県税条例 (神奈川県県税条例の一部を改正する条例 (令和 3年神奈川県条例第77号) による改正前のもの)
ア 第9条 所得割の税率は、100分の4 (所得割の納税義務者が地方自治法(昭和22年法律第67号) 第252条の19第1項の市 (以下「指定都市」という。)の区域内に住所を有する場合に
は、 100分の2) とする。
イ第11条 個人の均等割の税率は 1,000円とする。
ウ附則44項 水源環境の保全及び再生に資する事業の充実を図るため、 平成29年度から令和3年度までの各年度分の個人の県民税について、次の各号に定めるところにより、 税率の特例措置を講ずる。
(1) 所得割の税率は、 第9条の規定にかかわらず、 100分の4.025(所得割の納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合には、 100分の2.025) とする。
(2) 均等割の税率は、 第11条及び附則第7項の規定にかかわらず、 1,800円とする。
(6) 川崎市市税条例
ア 第18条 市民税の納税義務者は、次に掲げる者のほか、 法第294条に定めるところによる。
(1) 区内に住所を有する個人
(2) 区内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該区内に住所を有しない者
(3)~(5) 略
第20条 均等割の税率は、次に定める額とする。
(1) 第18条第1号又は第2号の者 年額 3,000円
(2)
2~3略
ウ 第22条 所得割の課税標準は、法第313条の規定によって算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
エ 第22条の3 所得割の納税義務者については、 当該納税義務者に係る第22条の規定による総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から法第314条の2の規定による控除金額を控除し、それぞれ 「課税総所得金額」 「課税退職所得金額」 又は 「課税山林所得金額」を算定する。
オ 第23条 所得割の額は、課税総所得金額 課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、 100分の8を乗じて得た金額とする。
カ附則32項 平成26年度から令和5年度までの各年度分の個人の市民税に限り、 均等割の税率は、 第20条第1項第1号の規定にかかわらず、同号に規定する額に500円を加算した額とする。

2 地方税法が特定扶養親族該当性の判断基準日を前年の12月31日としたことは、その立法目的は正当であって、 また、 立法目的との関連で著しく不合理であることが明らかとはいえないこと
(1) 立法目的が正当であること
原告は、 扶養控除が見直されたことの立法目的を問題としているところ、地方税法34条8項及び314条の2第8項が前年の12月31日の現況によると定めていることは、 扶養控除の見直しによって変更されたものではないから、原告の主張は失当である。
この点、地方税法34条8項及び314条の2第8項の立法目的について検討すると、地方税法32条1項及び313条1項が、課税標準について、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額としていることから、地方税法34条8項及び314条の2第8項は、課税標準となる前年に扶養している親族がある場合に所得から一定の金額を控除することとし、当該年の末日である12月31日をその判定日としたものである。
すなわち、地方税法34条8項及び314条の2第8項の立法目的は、 同法32条1項及び313条1項と、 また、 後述するとおり、 所得税法とも整合するように、 扶養親族の判定基準日を定めるものであって、その目的は正当というべきである。合的である。
なお、 原告は扶養控除の見直しそのものの目的の正当性は争っていない。
念のために付言すると、 原告も主張するように、 平成22年度の税制改正において、 高等学校等就学支援金法が制定されたことを受けて、 特定扶養控除等の対象年齢を変更したのは、所得税においては、 控除という手法は高所得者ほど有利となるということから、「所得控除から手当へ」 という考え方の下、子ども手当の創設や高校の実質無償化とあいまって、 扶養控除の見直しを行ったものであるところ、 地方税法における個人住民税は 「地域社会の会費」という基本的性格を有することから、 従来から控除の項目及び額については所得税の範囲内としており、所得税との税体系上の整合性や地方公共団体の税源充実の観点、国民に与える影響をも踏まえ、 個人住民税においても扶養控除が見直されたものである。 すなわち、地方税法における扶養控除の見直しは、所得税における見直しとは趣旨・目的は異なっているものであるが、その目的は正当である。
(2) 地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定自体が著しく不合理であることが明らかとまではいえないこと
ア 先述のとおり、所得税法は 「その年分」(同法36条1項参照)と定めていることから、 暦年課税方式を採用しているところ、これは、 所得税法が納税義務のある居住者の全ての所得に対して課税する (同法7条1項1号) ために、課税する所得の範囲を暦年によって区分することとしたものであって、その立法目的は正当であり、かつ、 暦年課税方式を採用したことは立法目的との関連で著しく不合理であることが明らかとはいえない。
また、所得税法が暦年課税方式をとっていることから、その期間に扶養している親族がある場合に所得から一定の金額を控除するとしたものであり、それが扶養控除の制度であるから、 暦年課税方式との関係で見れば、扶養親族の有無の判定は当該年の末日である12月31日の現況に基づいて行うというのが整合的である。
そして、地方税法道府県民税と市町村民税の所得割は、いずれも所得により課せられるものであり、その所得金額の計算は、 所得税法の計算の例によって計算されることとされ、 所得税制度と整合的な制度として定められている。
そうであるとすると、地方税法34条8項及び314条の2第8項において、 扶養親族該当性の判定を12月31日の現況に基づいて行うとしていることは 暦年課税方式を採用している所得税法に基づく所得の計算の在り方と整合的であり、 また、 先述のとおり、 地方税法33条1項及び313条1項が前年の所得を課税標準に用いていることから、 前年に扶養している者があったかどうかをその末日である12月31日に判定しているのであって、当該判定方法は合理的ということができる。
イ 原告は、同じ学年に属する子を扶養する親は、 扶養に要する支出が同等であるのだから等しく扱うべきとして、地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定を憲法14条1項に違反すると主張する。
しかし、 小学校の学年を4月1日に始まり、翌年3月31日に終わると定める学校教育法施行規則 59条を改正し、 学年の開始を1月1日とすれば、 同じ年に生まれた者は同じ学年となり、 遅生まれ、 早生まれという区分は解消され、 同じ学年に属する子を扶養する者は等しく取り扱われることになる。
すなわち、学校教育法施行規則59条を改正することなどによって、 原告の指摘する取扱いの差異は解消されることからすれば、地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定自体が著しく不合理であることが明らかとまではいえないのであって、原告の主張は失当である。
ウ 原告は、名古屋高等裁判所平成20年7月9日判決 (以下 「平成20年名古屋高裁判決」 という。)は、 最高裁判所昭和60年3月27日判決に照らしたものではないことに加え、 平成22年度の改正前の事案であるので本件とは事情が異なると主張する。
しかし、 平成20年名古屋高裁判決の原審である名古屋地方裁判所平成20年3月8日判決は、「所得税法は、「特定扶養親族(中略)に該当するかどうかの判定は、その年の12月31日の現況による」と明文をもつめており(85条3項 ここにいその年の12月31日」を、なく教育を終えた生まれの子については、「卒業年の前年12月31日をいうものと解することはできないとしたほか、「同一学年に属する者を一律にその親の特定扶養親族と扱うことは予定されていない。」と判示して、原告の主張を否定しているうえに、平成20年名古屋高裁判決も、これを認しているのであって、原告の主張は失当である。
 また、平成20年名古屋高裁判決は、先述のとおり、「そもそも早生まれの子の方が生まれの子に比べて期間が短いのであり、また、特定扶養親族としての扶養控除に関しては、毎年の12月31日の判断基準日において16歳以上23歳未満に該当する年数(回数) は、その誕生日がいつであっても同じであり、早生まれの子についても変わりはないのである。 ただ、上記のとおり、一定額以上の収入を有することとなった場合には、その実態に照らして、力の減措置の必要性が認められな「いことから扶養控除も認められないのであって、これをもって誕生日の相違を理由とした不合理な差別ということはできない。」としており、特定扶養親族の年齢が改正された後にあっても、同判示内容はあてはまるといべきであるから、この意味においても原告の主張は失当である。
 原告は、高等学校等就学支援金制度に所得要件が設けられ、早生まれのを持つ者については、支給の可否や支給額が不利となると主張し、これは地方税法が遅生まれの子と早生まれの子をする納税者で異なるいをしていることが原因と主張する。
しかし、原告も指摘するように、原告の指摘する点は、追加で設置された所得要件によるものであって、地方税法34条8項及び34条の2第8項の問題ではないから、原告の主張は、地方税法34条8項及び314条の2第8項の違憲性を基礎づけるものとはいえないというべきである。
すなわち、 例えば、 高等学校等就学支援金法の所得要件を撤廃すれば、原告の主張するような問題点は解消されるのであって、 これらの問題点の存在によって、 地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定が著しく不合理であることが明らかということはできないというべきである。
この点、「教育費等の支出がかさむ世代の税負担の軽減を図るために創設された16歳から22歳までの特定扶養親族を控除対象とする特定扶養控除については、22年度において、 高校の実質無償化に伴い、16歳から18歳までの特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分 ( 25万円)を廃止することとします (平成23年分からの適用となります)。これらの見直しに伴い、 現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。 なお、所得税 個人住民税の扶養控除等について、 「所得控除から手当へ」 等の考え方の下で見直すことにより、 現行制度においては、これらの税額等と連動している国民健康保険料 保育料等の医療・福祉制度に関する負担に影響が生じることになりますが、 見直しの趣旨を踏まえて、制度の所管府省においては、負担の基準の見直し、 経過措置の導入など適切な措置を講じることとします。」 (甲第5号証の64頁) とされているとおり、税額等と連動している制度の所管府省が適切な措置を講じることが想定されており、 仮に税額等と連動している他の制度において適切な措置が講じられていないとしても、 それは当該他の制度について適切な措置が講じられていないことの問題であって、 地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定の合理性には影響せず、これらの規定が立法目的との関係で著しく不合理であることが明らかとはいえないというべきである。
オ なお、 児童手当は父母等の所得となる一方で、 高等学校等就学支援金の受給者は生徒又は学生であって、 扶養者の所得になるものではないから、児童手当と高等学校就学支援金を並列に考えること自体、それぞれの制度を正解していないというべきである。
カ さらに、原告は、 地方税法34条8項及び314条の2第8項の「前年の12月31日の現況による」として扶養控除対象を判定する規定のうち、前年の1月1日から3月31日の間に15歳に達したものを控除対象扶養親族としない部分と、 前年の1月1日から3月31日の間に18歳に達したものを特定扶養親族としない部分が違憲違法であるため、 前年の1月1日から3月31日までの間に15歳に達した者を控除対象扶養親族とし、前年の1月1日から3月31日までの間に18歳に達した者を特定扶養親族として扱うことで課税額を算定するという方法によるべきと主張し(訴状17頁)、 その根拠として、 同一学年に属する子を扶養する者は等しく扱われるべきとしている (訴状6頁)。 原告の上記主張によれば、必然的に控除対象扶養親族及び特定扶養親族の認定に関して、 現に同一学年に属するか否かを判定する必要が生じることとなり、 具体的には、 控除対象扶養親族となる子が現に在学しているか、 及び、 最短年限で当該学年に属しているかを判断しなければならず、それらの確認のために上記各要件を証する書面の提出を求めるなどの必要が生じることは明らかというべきである。
仮に、 最短年限で当該学年に属していることを証する書面の提出を求めないというのであれば、原告の主張の根本である 「同一学年に属する子を扶養する者を等しく扱う」 ということにはつながらないのであって、原告の主張自体に整合性がなく、 失当であるというべきである。
そして、 最短年限で当該学年に属していることを証する書面の提出を求めるとすれば、 扶養親族及び特定扶養親族の判定にあたって、新たな事務作業が発生することは明らかであるし、 これに対応したシステムの改修も必要になるのであって、 租税の効率的徴収を阻害しないとの原告の主張は誤っているというほかない。
キ 上記の点をまとめると、 地方税法34条8項及び314条の2第8項が扶養親族該当性の判定基準日を前年の12月31日としたことについて、その立法目的は正当であり、かつ、当該立法目的との関連で著しく不合理であることが明らかとはいえないことから、これらの地方税法の定めは憲法14条1項には違反しないというべきである。
3 本件処分は適法であり、原告の請求は棄却されるべきであること
原告は、本件処分の違法性について、 地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定が憲法14条1項に違反し無効であることを主張しているところ、これまで述べたとおり、 地方税法34条8項及び314条の2第8項の規定は憲法14条1項には違反しておらず、これらの規定に基づいて行われた本件処分は適法である。
また、本件処分については、その経緯からして違法となるような事由もない。
したがって、原告の請求は法的根拠を欠くものであり、 速やかに棄却されるべきである。

以上