早生まれ税金訴訟

父ちゃん、また小法廷に立つ(計画)

対所得税の訴訟の争点整理

所得税について早生まれの扶養控除が不公平であることを訴えた裁判は、東京地方裁判所での弁論を終結し、令和6年1月12日に判決が言い渡されることになっています。

 

そこでこれまでの争点を自分なりに整理してみようと思います。

 

争点1

同じ年の2回目以降の通知処分の取消し訴訟は信義則に反し不適法か?

被告(国)の主張

前訴で同年の通知処分の取消し訴訟が決着しており、総額主義を前提にすれば本訴は蒸し返しにあたるので信義則違反(不適法)である。

原告の反論

通知処分の取消し訴訟においては総額主義は採用されず、納税者側の理由の差し替えが認められていないのがこれまでの裁判例である。
そうすると、納税者側は再度更正の請求をするしかなく、その通知処分に対して取消しの訴えをするしかないのであるから適法であり、信義則には反しない。

 

争点2

早生まれの子の扶養控除等が遅生まれと比べて不公平な扱いなのは憲法14条1項に反するか?

・判断の枠組みについて
原告の主張
サラリーマン税金訴訟(大島訴訟)を参考にし、合理性の基準で判断することが適当である。
被告の主張
大島訴訟は所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別について判断したものなので参考にならない。

・立法目的について
原告の主張
「控除から手当への転換」の考え方を採用し、子ども手当や高校無償化に伴って手当等の支給対象者の扶養控除等を廃したものであって、正当である。
被告の主張
一定の年齢の扶養控除等を廃し所得再分配の回復を目的としたものであって、正当である。

・立法目的と立法手段の関連性について
原告の主張
早生まれの子の扶養控除等が廃止された部分は立法目的との間に合理的関連性がなく憲法14条1項に反する。
被告の主張
所得再分配機能の回復が達成できており、合理的関連性は認められるから憲法に違反しない。

 

争点3

(もし憲法違反の場合)扶養控除の規定が無効になるのか?
被告の主張
租税法律主義により法律の定めのない解釈はできない。区別の解消は立法によるべきである。
原告の主張
違憲な規定によって課された税については納税の義務を有さないし、租税法だからといって憲法98条の例外と解することはできない。また行訴法31条(事情判決)の要件も満たしていないから課税処分は取り消されるべきである。